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Iron lamb

7.Iron lamb

朝、目覚ましに起こされて支度し家を出ることに、ふとうんざりしてしまうことは皆さんもあると思います。いえ、毎日思ったとしても誰も責められないでしょう。もしそういう朝に覚えがあるなら、あなたは頑張っているということです。

さてそんな日は、偶然にもこのまま眠り続ける責任を取らなくて良い状況がやってこないか、などと想像したりします。あるいは行きしなに予定をすべて取り消しても差し支えないような出来事が起きないか、例えば、十字路でたまたま悪魔と出会ってしまうとか…。

突拍子もないことを言いましたが、この”Iron lamb”はそんなストーリーを持った曲です。十字路の悪魔といえば、クロスロード伝説はロバート・ジョンソンにまつわる浮世草子としてあまりにも有名ですね。十字路で悪魔に魂を売り、引き換えにブルースギターの腕前と名声を手に入れたという話です。

この悪魔はしかし、ブードゥー教の神格であるパパ・レグバが元になっています。レグバは生と死・運命を司るとされ、十字路に住み、気まぐれ。神格であるのに悪魔と呼ばれる所以には、彼がトリックスターとして扱われていることが影響しているのでしょう。

しかしこの曲の主人公は名声なんてそんな大それたことを考えてはいません。ただ朝の光の中で毎日「挑戦と成長!」などという標語を思い出したり、涙を拭ったりしたくないだけなのです。

悪魔との契約は、この願いに対していささか力が強すぎましたが、それでも現在から逃れたい一心で悪魔の話に乗ります。

ここで気になるのは、魂を売るとは一体どういうことなのか、ということです。そもそも魂とは、なんて言い出すとまた長くなってしまうのでやめておきますが、きっとそれは想像もつかない代償なのでしょう。あるいは「想像もつかない」ということが大事なのかもしれません。望むものをなんでも一つ貰う代わりに、「あなたにとってひどく悪いことが起こるが、それが何かは言えない」と言われたら、皆さんはどうしますか。

それでは、明日の良い目覚めを得るためにしっかりと休みたいところですね。私は知らず知らずのうちに睡眠の悪魔と契約してしまったようで、自律神経とは和解できそうもないですが、今夜は皆さんの平穏な眠りを祈りたいと思います。

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