11.seven second delay
"seven second delay”とはラジオやテレビの所謂生放送で使われる数秒間(あるいは数分間)の意図的な遅延のことを指しています。これは遅延送出システムといい、例えば放送中にミスや不適切な内容があった場合にそれを電波に乗せてしまわないよう検聴者がこの遅延を利用して修正したり、もしくは内容をより良くする積極的な効果を施すために用いられるものです。ただ今回の曲名では主に前者のことを指し、もっと言えば、言論弾圧や規制といったイメージの比喩表現に なっています。
編成を見てましょう。楽器はドラム、ベース、エレキピアノ、ギター でシンプルなものです(ところどころ手拍子)。ピアノとギターは主にバッキングとしての役割なので、ドラ ムとベースが曲をリードしていくような構造になっています。ベースのリズムはかなり際どく、プレイもかなりラフです。具体的には実際のリズムよりだいぶ遅めで配置されています。
このようにベースはレイドバックしているわけですが、反対にドラム は細かく刻むようなフレーズが多く見られ、曲調に緊張感を持たせています。歌のメロディーのスピード感にも作用していますね。
さて、11曲目ということでアルバムも終盤に差し掛かりました。この 曲はどちらかというと小品で、他の曲に比べれば地味ではありますが、エンディングへ向けて雰囲気を変える役割をしっかりと果たしています。通して聴いていただくとよりお分りいただけることでしょ う。このライナーノーツも終わりが見えてきましたが、是非最後ま 見届けていただければと思います。