5. on the veranda
映画のオープニングみたいなイントロですね。ところで、皆さんはサウンドトラックを聴くことはありますか?私はこれを調べて聴いてみるのが結構好きなのですが、映画にせよドラマにせよ、優れた映像にはやはり優れた音楽が寄り添っています。
ある映像に合わせて、もしくはある場面を想像しながら音を作るというのも作曲のひとつ面白いところで、空想によって耳だけでは及ばなかったストーリーが発見されたり、またそれが再び音に表現される過程は普段あまり気にされませんが非常に興味深いものです。
あるいは人によっては空想を主体として曲をイメージしている場合もあるでしょう。このバランスは個々人によって異なるかと思います。 そして、空想が一番に影響を与えるのは多くの場合詩でありましょう。言語として直接表現できるので、当然ですが聴き手へ伝わりやすくもあります。
この曲の詩はわかりやすいストーリーになっており、主に主人公とその知人との会話で進んでいきます。はっきりとした物語があるので、まさに空想をそのままにした詩です。ちなみに作詞したのは私の姉である西村遙で、色々な想像を共有しながら文字に起こしてもらいました。
余談ですが、姉とは他にも、詩中に出てくる「ガランティーヌ」という料理を一緒に作って食べたりと、割と楽しんで作業していた憶えがあります(実際に使いたかった種類の肉が用意できなかったのは残念でしたが、次回の楽しみにしておきましょう)。
さて、この曲はM2に続いて白根賢一さんと高桑圭さんにドラム、ベースで参加していただきました。高桑さんが「この曲に合いそうだから」といってセミホロウのベースを持ってきてくださったのを憶えています。どうでしょう、効果は抜群でした。
曲調は単純で、パターンも多くありません。基本的に繰り返しです。故にリズム隊のお二人のニュアンスがよく出ていますね。アウトロのドラムとベースの絡みなどは、個人的にアルバム中でも特に好きなポイントの一つです。イントロは映画の最初のシーン、このアウトロにはエンドロールが見えませんか?
音がイメージに変わる瞬間は、音楽を鑑賞する過程でも皆さんの脳内で起こっています。作者の意図すること、しないこと、様々な情報を音から得るわけですが、やはりこのバランスも人それぞれです。
今までなんとなく聴いていた曲が、改めて詩をみるとイメージと全く違う曲だったなんて経験もあるでしょう。不思議ですね。 さて、皆さんが今どんな空想をしているか、頭を開いて見てみたいところです。