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twin sparrows

10.twin sparrows

手遊びみたいなイントロが聴こえてきました。二羽の手製の小鳥を作って飛んだり留めたりしてみましょう。ではご紹介します、アルバム の10曲目"twin sparrows”です。

さて、聴いていただくとお分かりになる通りこの曲には日本語の歌が のっています。アルバム中唯一、いえ、今までリリースした曲では初めてです。日本語の詩を全 ったことがないというわけではありませんが、私にとっては珍しいことで、作詞では普段とは違う楽しさがありました。言葉遊びがチャーミングな、しかし皮肉っぽい曲調と通じ合っています。

この曲はほとんど電子楽器で構成されており、可愛らしくはありますが全体を通してあまり抑揚のない調子で流れていきます。そこへぶっきらぼうな女声の歌が聴こえてくるわけですが、このライナーノーツではすでにお馴染みとなった私の姉である西村遙(Haruka Nishimura)がこの脱力したフレンチロリータ的な雰囲気を歌っています。

歌を女声にしたのは作曲当初からそういった雰囲気のイメージがあったためで、自分で歌うことは初めから考えていませんでした。ボーカルに自分以外を起用するのは初めてのことで、これは非常に楽しいものでした。作ったメロディーが普段とは違う流れ方をするのは、当然と言えば当然ですが、新鮮さがあり面白いですね。

再び詩に戻りましょう。先述の背景もあり、この詩は女性の目線で書かれています。恋愛についてのストーリーになっていますが、中身を見るにどうやら上手くはいっていないようです。「片腹もいわせない」なんて、印象的な言い回しですね。

簡単に解説をすると、詩の主役である彼女の相手はこのごろ「ちょっぴり」頼りなく、そのせいで彼女は幾度もがっかりさせられては、悩ましい想いをしています(「ちょっぴり」。久しぶりに口にしました が、この曲のポップさやコミカルさにはぴったりの表現だと思いま す)。オープニングの吐息はため息なのでしょう。

二回目の所謂Bメロにあたる部分では、途中から男声のコーラスが入ってきます。この部分の詩はそれまでとは少し違い、言い訳をするような言葉は、相手の台詞です。酸いも甘いも噛み分ける、という言葉 がありますが、このBメロの最後の一文にある「酸いから噛ませて」 とはユニークな謝罪の言葉でしょう。

さて、この続きは気になるところですが、あまり説明しすぎても詰まらないのでこの辺りにし しょう。詩中には他にも言葉遊びがありますから、是非楽しんでみて下さい。しかし手遊びも 言葉遊びもそればかりでは、気持ちを伝えるにはまどろっこしいというものです。

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