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虐待の恨み はどこにある?

彼女との出会いは、深爪。

「つい噛んでしまう、噛み癖、むしり癖。治したいんです。手を見せるのが恥ずかしいんです。」

私は、ネイリストをしていて。丁度エモーションフリー講座も受講した後だったから、誰かにもセラピーをしてみたかった。もしかしたら、ネイルの技術とエモーションフリーセラピーで、良くなるかもしれない。

「ネイルと、セラピーのモニターさんになってくれる?」

双方の意見が合致して、ネイルケアからクリアジェルで、爪を噛む時、むしる時、違和感があるように、コートした。

ネイルをしながら、噛み癖がどんな時にしてしまうのか?探っていた。本人は、無意識に気づいたら噛んでいる。とのこと。まだ未熟な私は、爪を噛むことは悪いことだと思っていた。

今ならわかる。ただの癖。そこに良いも悪いもない。いつも朝起きると、音楽を聴くために、オーディオスイッチを、ピッと無意識に押しているのと同じことなのだ。

しかし、当時の私は、勝手にストレスから爪を噛んでいると、決め込んでいた未熟者だった。

彼女は、フリーター。

週に3回ぐらいしか働かない。学校にも行っていないし、お金に余裕があるようにも見えない。

「ねぇ。なんでもっと増やさないの?」

「増やせないんですよ。増やすと、止められちゃうから。」

「なにが?」

「生活保護、受けているし。なんか市からも、いろいろ制限あるし、いろいろ言われるんです」

「…。」

多分、私はコメントに困っていた。

彼女は、私が質問するとなんでも話してくれた。話の内容は、ところどころ噛み合っていなくて、登場人物も、彼女の中ではいるのだが。まとまりがなかった。

見られたくない

「精神科にも、通わないといけないし。薬も飲まないといけないんだけど行きたくないし、飲みたくもない。」

「そんなの、行かなきゃいいじゃん?」「どこがおかしいの?

「行かないとダメって、言われるんです。なんか、私。記憶を無くしちゃうんです。」

「そうなの?全然わからないよ。普通に見える。」

「私、養護施設で育って、その後独り暮らししてるんですけど。市の人からいろいろ言われるんです。」

「親はいないの?」

「どこかに、いますけど。会っちゃいけないから、教えてもらえません。」「なんで?」

「私、父親に虐待されていたから。それで施設に入りました。」

「お母さんは?」

「良くわからないんですけど、私が産まれて、お金だけ持ってどこかに行ったみたいです。異母兄妹?って言うの?良くわからないんですけど、いるみたいだけど、どこにいるかも会ったこともないです。」

当時の私は、ここまでの話を聞くだけでも衝撃でした。本当にこんな子がいるんだ。彼女は、その頃深爪だけでもなくて、リストカットの後もついていた。

ネイルをしながら、彼氏のこと。

施設から飛び出したこと。

施設でお世話になった人のこと。

精神科の女医さんが、支えてくれていること。

そんな話を聞いたのを覚えている。

「私、結構めちゃくちゃなことばかりやっていたし、死んでもいいとおもってたし。でも、誰かが必ず引き戻すんですよ。なんか生かされてるな。って思ってますよぉ〜。」

しかし、そんな話は、私が聞くから答えてくれただけで。彼女の頭の中は、翌日のデートのことでいっぱいだった。

インターネットで知り合った地方の彼のところに遊びに行く約束だった

いや、その時はまだ彼氏ではなかった。

彼女は、知らない人と食事をするときなぜか?食べたいものを注文できないと言って、それが悩みだった。

私は、ネイルが終わると。彼女の悩みや彼女の過去の苦しみを、解放した。

基本的には、エモーションフリーセラピーはセラピスト側も、なにをセラピーするのか忘れるのだが。

当時の私は、まだまだ未熟。今でも覚えている。その時の彼女の怒り、恨みは、大人たちだった。それは、彼女の口からも出てきていたし。解放もガンガンおきた。

彼女が、恨んでいたのは。

父親ではなかった。

父親と自分を引き離した大人たち。施設の大人たち。市の職員たち。取り調べをした大人たち。

だった。

彼女は、なにをされているのかわからない様子で。ウトウトと眠そうにしていた。

1ケ月後、彼女はネイルチェンジにやってきた。嬉しそうにあの日、例の彼から告白をされたことを報告してくれた。ネイルも喜んでくれて、「私、松田さんに自慢したくて。見てください。伸びてるんです。私、自分の爪切らなきゃって、爪切り買ったんですよぉ」

なんかね。あの後すごく心境の変化が起きているんですよね。

「彼とは?どうなったの?」

「へへ。それ、聞きます?うまくいってますよ。あの日、告白されました。」

「私、いつかお父さんに会って、お父さんの面倒みたいんですよね」

「本当は、美容師さんになりたかったんだけど、学校とか無理だし。」

爪の状態も良かったので、今回はもっと強力に、ネイルをして彼女はかえって行った。

だが。

しばらくして、夜中に彼女から泣きながら電話が入った。

つづく。

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