此岸と彼岸 歯界展望:第49巻 第5号 昭和52年5月

花が散りすぐ青葉、極寒の冬から季節はあわただしく移り変る。目に青葉、だがカツオは去年の倍もするそうだ。

200カイリに関係のない魚なのに、流通機構のからくりのために、良くて安い魚が食べられず、航空機輸送の牛肉、薬物汚染の鶏肉を喰わされると報じられる。マスコミをまるごと信頼するわけではないが、目をつぶるわけにはゆかぬ情報社会。

暫く悪徳歯科医の記事が薄れた途端、毎日新聞家庭欄に、本のカバー写真入りで“内部告発の本売れていまずと報道される。

カバー写真は「日本人の歯をダメにした歯医者」の表題,ダマされていませんか「歯」の値段の副題で、牛をなぶり殺しにする闘牛士を歯医者に見たてたのか、ビュッフェの石版画「闘牛士」の三部身の顔写真。

発売10日間で5万邦が刷られ、9刷まで発注ずみ、非常な売れゆき。悪い歯医者から著者や出版社に批判が多数寄せられているなどなど6段抜き。

記事に、「著者は保険医を辞退し歯科医師会からも脱退しているアウトロー、物をいいやすい立場にあるわけ、その分だけ差し引いて読む必要はありそうだ」とある。

10日後また別の夕刊紙には1面全面歯科医師会が歯ぎしりしたの大見出しでまたまた「内部告発の本、日本人の歯をダメにした歯医者」の文字がベタ白抜きで見出しとされ、著者は,“はぐれ狸”と自称しているなど報道され、日本歯科医師会理事の言葉として「われわれがあんなものと四つに組むのもどうかと思うが、影響が大きくなるようなら歯科医師会として反論もせにゃならんと思っとります」とある。

記事からみれば、歯科医師会を脱退すれば有名大新聞はアウトローと決めつけ、歯科医師会からはあんなものとされる。読まれた歯科医も多数あると思う。果してその内容が割引きして読む必要があるような内部告発なのか、おたずねしてみるつもりでいるし、また歯科医師会からどのような反論が一流新聞に表われるかも期待している。流通機構もマスコミもその効果のためには、少々のしたたかさとあくどさが必要なのかもしれない。

やがて梅雨の季節、ギラギラと照りつける真夏へと移り変るであろう。季節の移り変りを好むという人の多いわれわれであるが、そこに良さが感じられてのこと。どんなに荒れても、騒々しくてもいいというのではなかろうかと思うのは齢のせいか。

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