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移 り 変 り 歯界展望:第49巻 第6号 昭和52年6月

今年の冬は寒かった。厳しかった。啓整の侯、奈良二月堂のお水取り、一日一日と春が待たれた。

今日はお彼岸の中日、それも穏やかな、やさしい陽射し、絶好の日和、おまけに2日続きの休日の静かな暖かいお昼時、越し方と今日の今、此岸と彼岸の明日、将来、余生と後生を考える。

世間では入学と卒業、卒業と就職で賑やかだ。なかでも最高学府の入学、学歴社会、最高学府の入学金、闇入学がとりわけやかましい。何故こうまでなるのか。多くの人達があらゆる方面からマスコミに意見を述べている。どれも成程とは思うが、とりわけ気になる記事は、医者で作家の渡辺淳一さんの随筆であった。

非常識な入学金を払うのは開業医の子弟の入学が多い。それは、そうしてもまだ引き合うからなので、開業医の一生の努力の結末は医院の設備だけしか残らないし、それは医院として使われる事によってのみ、老後の生活を支える経済的な有効性があり、したがって、跡継が必要となり非常識な投資も、この事を達成しようとするためだと結ばれている点である。

それともう1つ、お茶の水大学教授の外山滋比古さんの国語を守ろうとする機運についてのエッセーの中に、今の若い人達が職業として何を望んでいるのかの調査とその順位を引用され、1971年、1976年ともにベストスリーに医師、歯科医師が望まれている事である。若者自身が何故このように切望するかが問題だろうと思う。

東大のそれも、最も有力な学部入学者が医系入学の方を採った事はまだ耳新しい。この点についてはそれほどに批評されていないが、まず第一にたった一つだけ挙げるとするならば、それは下手も上手も、未熟も熟練も全く同一に、そして監督指導の及ばない開業医の仕事と暮らしが世界のどこにも見られない有様で、我が国だけに存在するという事、その事にあると思う。.

しかしこれからはどうなるのか。現に高額な人学金については必要であるとして認められ、闇入学には繋がらなくなったし、下手、上手が受ける側に問題として取り上げられ、正しく査定される社会主義社会・福祉社会での有様が持ち込まれてくるならばどうなるだろう。

とにかく、人に奉仕して暮らす事は、人に生かされている事を本当に感じる者のみができる事であるとしみじみ想う。

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