雪国スタート
自宅を夕方に出発してヒースローに到着したのは現地時間の朝6時。真冬の雪国スタートという特殊事情もあり、トータルで移動に24時間もかけてしまった。北海道→東京→ロンドン→ブライトンの長い旅。
ツアー2018
私の現地到着日はツアー初日。第1部はSpooky ActionとソロEPからの曲、第2部はMansunの1stアルバムAttack of the Grey Lanternの完全再現を演るということが告知されていた。
トータルで2時間のステージ。2017年のツアーでは1時間だったことを思うと、なんという贅沢!Mansunファンは大歓喜。Grey Lanternの中にはまだ一度もライブで演奏されたことがない曲もある。
AOTGLを「完全」再現
その上、Facebookのファンページで「DisgustingはAcousticでもいい?」と聞いたPaulに「ダメ!全部オリジナルで!全曲そのままやって!」という要望が殺到し、文字通りアルバムを完全再現することになっていた。
あの凝ったアレンジや効果音の数々...メンバーは大丈夫なのか。そしてPaulは2時間も歌い続けられるのか。イギリスのファン容赦無い!
ヒゲと髪はどうなった?
加えて、直前に公開されていたリハーサル動画でPaulの髪とヒゲが伸び放題だったため、一体どんな様子でステージに登場するのか?という点も注目だった。
本人が行ったアンケートでは「ヒゲは剃って欲しい」派がヒゲ温存派をわずかに上回り、Skywalker風Beardの存続は絶望的と見られていたのだ。
Brighton
ヒースローからロンドンまで約30分、ロンドンから更に電車に乗って南に約1時間程、ブライトンはドラムのJonとベースのBeauが暮らす街。リゾート地として有名だけど、今は2月で当然人もまばら。
resident music
繁華街で憧れのレコードショップresidentを見つけてLive at Scalaはどこにあるのかなあとウロウロしていたら、聞き覚えのある曲が流れ始めた。...なんと宮沢賢治の星めぐりの歌!はるばる遠くまで来てここでまさかの宮沢賢治にはびっくり。
The Haunt
今日のVenue、The Hauntはホテルから徒歩5分。ほかのGIGでもこのくらい近くに泊まれれば気が楽なんだけど、宿など無いような場所もある。地方のGIGは特に私のように英語がダメな人間にとってはハードルが高い。でも最高に楽しいのはやっぱりこういう小さいハコ。近くで見られる幸せ。
ステージで主の登場を待つPAUL DRAPERのロゴ。またここに帰ってきたんだなという実感が沸いてくる。今回はステージ右寄りにしてみました。
Supporting Act
前座はいないと聞いていたので、開演時間になってまずSol Croftが出てきたのにはびっくりした。彼は結果的に2017年も2018年も、全てのPaulのGIGのサポートを勤めたことになる。The Silence Of The Watchtower、好きですよ。
リードギターのBenにしてもSol Croftにしても、Paul はこういう若者がお好みらしい。口数が少なくてとても控えめで繊細そうだけど頑固そうで、よく人前に立つ仕事を選んだなぁと思ってしまうような。Paulは昔の自分に重ねてるんだろうか。
ツアー終了直後の情報ではSpooky Actionに続く2ndアルバムのレコーディングにもSol Croftを参加させているらしい。そしてBenも曲作りに参加してるとのこと。
そしてついに…
まさかのそのまま!
登場したPaulを見て、会場がどよめきに包まれる。Paulの髪とヒゲはリハーサル動画そのまま!完全に意表を突かれた!後で写真を見比べるとWide Open SpaceのMV(吸血鬼の方ね)の頃の髪型に似てなくもない。狙ったのか単に美容室に行く時間がなかったのか、真相は闇の中…
それにしてもDon’t Poke the Bearから始まったのは嬉しかったね。やっぱりこのイントロはスタートを飾るにふさわしい。
この日は主にお水と暖かい飲み物(ティーバッグが2つほど入ったマグカップ)を飲んでいた様子。前回のツアーは風邪をひいた直後だったためか、のど飴をバリバリ食べていたんだけど、今回はそれもない。この日はお酒無し。
初日なので様子を見ながら、しっかりやろうという雰囲気がバンドにあったかな。今回はキャサリンはいないけれどKristina がいるお陰でステージに明るさがあった。ずっと笑顔を振り向いてる可愛い子。まだ25歳らしい。
Spooky Action & EPs
久しぶりに見た嬉しさと髪とヒゲの衝撃で5曲目まで写真も撮らずステージを凝視。というかですね、この後もそうなんだけどSoloの曲が好きすぎて写真とか動画とか撮ってる場合じゃないんですよ正直。
正直私の中ではSpooky Actionの中でJealousyは4番手か5番手だったんだけど...このAcousticには...驚いた。鳥肌が立ってしまった。EP Threeにこれを持ってきて、しかもAcousticにしたのはこれか!
前回のツアーでもDisgustingはギター1本で歌っていたのに、今回ほどのインパクトはなかった。やはり今のPaulの曲、今の声というのがある。楽器に遮られないPaul Draperの声。MansunはもちろんPaulなんだけど、ソロのPaulは今だからこそ、より切実だ。What a song! What a voice!
ソロ部分は私の好きな曲しかない完璧すぎるセトリで満足。ソロだけで2時間やってくれたらもっといいけどね。今回は短すぎたよPaul!
10分後にまた会おう!とやけに爽やかに宣言して一旦退場。
Attack of the Grey Lantern
そしていよいよAttack of the Grey Lanternの完全再現がスタート!Chad〜のイントロがスタートして、メンバーとPaulがゆっくり現れる。
演るとは前から聞いてたんですけど本当にやるんですか?フル再現を?本当に?という気持ちになったし、会場のみんなも目の前で起こってることがちょっと信じられないような、そんな空気。本当に来ちゃったーっていう、照れ臭いような嬉しいようなあの感じ。
大合唱を見てPaulも嬉しそうだった。精一杯楽しんで帰って!っていう心意気?プロマインド?それとも昔の仲間=ファンに会う感覚かな?
牛の鳴き声から教会の鐘の音まで、効果音も本当に全部再現されていて、客席からもその都度笑い声が聞こえてた。みんな楽しくて仕方ないのが伝わる。
PaulはやっぱりMansun再現になると気合入ってるというよりは、ファンの反応を見て満足気な感じ。その代わりというか、バンドは緊張感があって、献身的で本当に素晴らしい!
ドラムのJonは元々かなりのMansunファンと思われるので、ここでもみんなをリードしたのはJonだったんじゃないかなと思う。あのドラムを再現するには相当な練習が必要だっただろうなぁ。Mansunのベースは他のパートに比べてかなりシンプルだと聞いていたので、職業ミュージシャンのBeauにはそんなに難しくなかったかも。
年齢的に生のMansunを聞いたことなどあるはずもないキーボードのKristinaとリードギターのBen、特にBenの努力は想像に余りある。あのChadの代わりを務めるプレッシャーも大変なものだったでしょうね。
素敵なおじさんによる素敵なおじさんのための
会場の8割を埋め尽くす、恐らくは40代以上の男性ファン(端的にいうと「おじさん」)が最後のLyrical Trainspotterに合わせて両手を大きく左右に振る素敵な光景。ファンは腕が疲れてすぐサボろうとする。そのたびにPaulに煽られる。
ツアー準備しながらPaulが「この曲がラストだからみんなに腕を振ってもらおう…」などと演出を検討してるシーンを想像すると、少しくらい嫌なことがあったって気にならなくなるのでおススメ。
これを読んだ方は次にLyrical Trainspotterを聞く時、The lyrics aren't supposed to mean that much〜のサビの部分でずーっと腕を振り上げて左右に振ってみて欲しい。思った以上にキツイし恥ずかしいから。※周りに人が居ないことは十分確認してからね
ライブ終了後
物販も前回に比べるとかなり充実。この後ツアー後半、雪のせいで商品の到着が遅れて欲しかった商品が買えない人が居たとか、クレジットカードが使えないVenueがあって、普段現金をあまり持ち歩かない英国人が商品買えずに泣くとかの事態が起ころうとは、この時誰も知らなかったのであった。
Setlist
生まれて初めてセトリをゲット!スタッフがくれたわけではなく、Kristinaのいたところの床に貼ってあったのに手を伸ばして勝手にはがしました。イェイ!Spooky Mansunってタイトルが可愛い。Egg Shaped Faceは単に入力ミスだと後でPaulは言ってたけど、わざとのような気もする。
そしてこの後Bristolでも思いがけずセトリを貰えたんだけど、それはまた別のお話!続く。
Credits:
@sakura_alfa