声なき声 歯界展望 : 第50巻 第4号 昭和52年10月

東と西とに線引きしたように、一方は雨ばかり、他方はカラカラ天気続き、北の海ではいいがかりをつけられ、威され、強請られ通し。

南の国々では気前のいい大盤振舞。どれもが国民の一人一人の暮らしに拘ってくる。

いよいよ今日で夏休みも、厳しい暑さも終り学校が始まる。中学、高校生の家出が急増していることを新聞は報道している。学校が嫌なのだ。

このような気持でいる医歯系の学生が気にかかる。毎日のように不正入学についての記事が新聞紙上を大きく埋めている。通学の途次、面罵され、投石されるなど嘲笑、侮蔑に耐えかね自殺者までが出ている。

まったく、私立医歯系大学教育は国民からみはなされ、愛想尽かしされそうである。しかし国民は次第に冷静、どうすべきかを熟慮しているようにも思われる。医療者側からも惧重な意見が数多く述べられてきたが、問題は医学教育のあり方と制度の両面であろう。

そもそも戦後の学制改革は、ほとんどアメリカの学制そのままを受諾させられた。にもかかわらず、医歯系の教育についてはアメリカの一般大学4ヵ年終了後、受験資格を得て進学する制度が受けつがれていないことに注目しなければならない。

学制改革から30年が過ぎた。その間のあらゆる社会の大きな変化の中に、健康に対する評価も大きく変り、現在では健康こそが庶民の幸福への基盤、真の資本であると定着してきた。庶民の願いは医学、医療への信頼を真剣に求めている。医者の数も現在の数で多すぎるとも思っていない。医育と医育制度の見直しを必要と感じているのである。

医歯系の私学は、国公立校の教育方針と異なる特殊な主義、主張の遂行達成のために創立されたものではなく、医師不足を補ない、社会の要望に応えるべく、立派な医者をつくるための教育をめざして、私費をもって創立運営されていることを考えるならば、できるだけ早くあらゆる行掛りを捨て、国公立にする方針で努力すべきではなかろうか。

新しく国立校を増やす前に、私立に対して十分な財的援助、例えば国家試験合格者数に応じて国費養成と同額の助成金を支給すると同時に、財政運営の監督を万難を排して行うべきではないかとの声も高い。入学寄付金そのものがすでに不正だ。許すべきではない。

入学試験問題は、厚生省が国家試験問題ガイドラインを示すだけでなく、アメリカ、ドイツなどのように公的機関によって研究された問題によって、また試験方法については54年度から行われる大学共通試験のような共通試験を行うべきであろう。

Created with images by elizabethaferry - "school lockers hallway"

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